シミュレーションと問題解決


 問題の把握・理解  --->  シミュレ-ション(確率的,確定的) ,実験,数学的解析  --->  問題の解答(推定)

例題4 つり銭問題 ・・・偶然性を用いる解法
例題5 部品購入量の問題 ・・整数値での計算
例題6 円周率の問題 ・・・偶然性を用いる解法(モンテカルロ法)
例題7 待ち行列(アイスクリ-ム店の行列)

待ち行列の解法(例題7)

ここでは,例題7に関して数学的な解法とシミュレ-ション解法との違いを実感して下さい.

●数学的な解法

1分あたりの客の到着数 は次の表のとおり.1人あたりのサ-ビス時間 は1分,窓口1つ.但し,客の処理は先着順とする.(別紙資料参照)

人数 確率
0 0.7
1 0.2
2 0.1

●ポアソン分布(到着人数)

 単位時間あたりの客の到着数(平均到着率)は近似的にポアンソン分布に従うといわれます.平均到着率 λと する時,単位時間内に r 人到着する確率は,

で計算できます.例えば,平均到着率が2人の時,単位時間に1人到着する確率は,

[Graphics:../Images/index_gr_83.gif]

[Graphics:../Images/index_gr_82.gif]

[Graphics:../Images/index_gr_84.gif]

であり,さらに0人から6人までの確率分布は

[Graphics:../Images/index_gr_85.gif]

[Graphics:../Images/index_gr_86.gif]

と,こんな感じです.


●指数分布(到着間隔)

さきの状況と同じ時,1人が到着してから,次の人が来るまでの到着間隔の分布は次でかけます.

[Graphics:../Images/index_gr_87.gif]

これは,指数分布とよばれています.次のグラフは平均到着率が2人の時,到着間隔(0分から6分まで)の分布です.

[Graphics:../Images/index_gr_88.gif]

[Graphics:../Images/index_gr_89.gif]


●指数分布(サービス時間)

窓口サ-ビス時間には,ほぼ一定時間のものや,指数分布に従うものもあります.後者の場合,単位時間あたりの平均サ-ビス数(平均サ-ビス率)をμとすると単位時間あたりのサ-ビス数は平均μのポアソン分布に従い,サ-ビス時間は,

[Graphics:../Images/index_gr_90.gif]

の指数分布に従います


●シミュレ-ション解法

次の3つのモデルにもとづいて,シミュレ-ションでの解法を考察しましょう.

モデル1

5分あたりの客の到着数 1人 ,1人あたりのサ-ビス時間 は4分,窓口1つでは.

モデル2

客の到着間隔は2分〜8分までの一様分布(平均は上と同じ5分),1人あたりのサ-ビス時間 は4分,窓口1つでは.

モデル3

1分あたりの客の到着数 は次の表のとおり(いろいろ変えてみる).1人あたりのサ-ビス時間 は1分,窓口1つでは.

人数 確率
0 0.7
1 0.2
2 0.1

その他,さまざまなモデルが考えられます.


●学習活動の例

具体的に,生徒との学習の場面では次ような活動が想定されます.

・モデル化のための取材
・手作業シミュレーション
・数学的解法
・コンピュータを利用したシミュレーション
・結果の妥当性についての討議


Converted by Mathematica      August 2, 2002